2009年6月28日日曜日

キャリアデザイン研修の効果は②

先週は例のキャリアデザイン研修の第2弾でした。(第1弾はこちら

やはり感じる印象は前回と同様です。

2年目にキャリアデザインに関してきちんとした基礎を教わっていると、5年目で初めてその考え方に触れた者よりも、

 ・キャリアデザインに関して、知識ではなくスキルのレベルで差異がある。
 (的を得た自己分析や相互アドバイスの精度が高い。職務環境への戦略的行動も僅かに精度が高かった)

・職業的自己概念(キャリアアイデンティティ)が成熟していると感じた。別の言い方をすると、プロ(正確にはプロの卵)意識がやや高い。

総括すると職業人としての大人度が高かった気がしました。



まっ一見当たり前の話ですが、私は結構重要だと思います。

要するに
「自律した大人な職業人になってもらいたければ(欲しくない経営者・管理者はいるでしょうか?)、早いうちからきちんとそうなるための教育をしておいたほうが良いということだと思います。
もちろん、そんな教育は無くても厳しい仕事環境から自ら学び取れる者もいますがごく少数であることは断言できます。たまたま実った野生の果実といったところでしょう。
教育でプロ意識を持った社員の割合を増やすことができるなら投資価値はあるのではないでしょうか。

でも、会社が社員に馴れ合い、もしくはアメムチ方式で言うことをきかせたいならば、この教育はもしかしたら逆効果になるかもしれません。


当然、今回の研修を通して気付いた課題もあります。

「研修教育によって、キャリアデザインに関する高い意識と分析スキル向上により自己認識は上がっているものの、ありたい姿になるために現実の職務環境にどの様に働きかけてそれを実現していくかの落とし込みの部分がまだ甘い(成否は個人資質と環境に大きく依存しており教育効果はあまり機能していない)」

つまり、結局、賢くはなったものの現実の厳しさに降参して意思の無い労働者に成り果てるリスクがあるということです。
これでは教育の効果は殆ど出ないことになる。これはもったいない。

私の師匠(勝手にそう思っている)の言葉を借りると、
「自身のキャリアを意識したセンスの良いジョブデザイン能力」
をきちんと見につける必要があります。そしてここが最も重要な部分かもしれません。

ここに関してはコーチングが効果的なんですが、果たして研修教育的な方法で精度が上がるのか?
まだわかりませんが試してみたい領域です。

うーむ。うまく整理できていないのでわかりにくい文章になっている気がするな。。。未熟。。

ちょっと余談的に面白かったのは、
今回クラスにキャリア的に特にいい感じになっている者が数名確認できたのですが、

・仕事を自分事として深く思考している
・言語化が発達している(能弁に仕事を語る)

ことは共通でした。
それで興味を持ったのでさらにインタビューをしてみると

・上司からは比較的大きな範囲で自由にやらせてもらっている
・上司から仕事に関して自らの意見をきちんと主張するように常に求められている
 (甘いとガツンとリターンされるそうです)

やはり若手にとって上司の存在は大きいですね。

2009年6月27日土曜日

どんな仕事人でいたいか

「自分はどんな仕事人でありたいか?」

この問いはこの10年間以上自分に問い続けています。

その都度、色々と考え、最適解を出したつもりなんだけど、
なぜか、暫くするとまた同じテーマについて考えさせられる。

さすがにコアの部分はぶれなくなったけど、考えるたびに
微妙に修正が加わっていく。
こういうのが自己定義の本質なのかもしれません。

そして、最近もまた「自分はどんな仕事人でありたいか?」について
自分がこだわりたいことが明確になりました。

知人達との会話がそれを誘発しました。

いつも他者との会話がきっかけとなることがあるのですが、
今回はちょっと変わっていて、
色々な知人と色々なテーマで語っていくうちに
説明のつかない心の引っかかりが膨らんでいって
ある時、急に言葉が浮かんで落ち着いたというプロセスを踏みました。

引っかかり1
ある友人がその友人である宗教家と、
「もともと人の内省を深める役割は宗教家が無料で果たしていた。
最近はコーチといった類の人間がお金をとってやっている。等々」
といった会話をしたと教えてもらった。

(その意見に反対とかいうことでなく、
自分は宗教家が無料でやっていた仕事を有料でやっている存在
なのだろうかと思った時に何かが引っかかった)

引っかかり2
(自分のライフワークにしたい)「人のゾーン」に関する書籍を読んでいて
その説明、根拠の曖昧さにいらいらしたこと

(なぜ、こんなにまでいらいらするのだろうと引っかかった)

引っかかり3
書籍出版に関するコンサルタントの講演を聴いて、
本を書くということも
自分のユニークさとその定義を深く考えることが重要である

(書籍出版も経営もキャリアデザインも一緒だなぁという感覚と
自分の定義はまだまだ甘くないだろうかと引っかかった)

そして、それらの引っかかりがスッキリする瞬間がきた。
知人と話をしていた時だ。

知人:
「やっぱりキャリアのスタート期に何をしていたかって後々引っ張るよねぇ。
コンサルタント、教育屋、製造、営業とかね。
それに業種業務だけでなく、どんな会社育ちかとかね。
自分なんかリ○○ート育ちが今だに抜けてない気がするもん。」

僕:
「それって絶対あると思いますね。自分はこれでもSEあがりですからね。
今は講師とかコーチとかやってますが、
自分の仕事のアプローチはエンジニアのそれだと思います。。」

その時、「あっ」と思った。

自分は能力開発の分野で、

宗教家でもなく、研究学者でもなく、知っている知識を伝える講師でもなく、
経験に基づく持論提唱屋でもなく、

エンジニアでいたいんだ。

あくまで実践的に働きかけて結果にこだわることができて、
でも、提供するソリューションやアイデアには
きちんとした知識に基づいた理がなくては駄目。

そんな「エンジニアみたいな能力開発屋」でいたいんだと思い当たりました。

そしてその瞬間、ひっかかっていた数々のものが落ちて
すっきりとした楽な気持ちになりました。
そう考えると自分の行動・学習パターンも矛盾がありません。

今回の気づきは何気に良かったなー。
脳が勝手にバックグラウンドで考えを熟成していった感覚があり独特でした。

でも、SE職をあんなに嫌っていたのに、
自分の仕事人としてのあり方にこんな影響を与えていたんだ。。
面白いもんだ。。

2009年6月13日土曜日

キャリアデザイン研修の効果は

卒業した会社の5年目社員のキャリアデザイン研修も講師で入って4年目(昨年はこちら)。時のたつのも早いものです。

但し、今年の参加者はいつもと少々背景が異なります。
そもそも、この会社では3年前に2年目社員と5年目のキャリアデザイン研修を(外部委託の汎用的なコンテンンツから自社のキャリア環境に適したバージョンに)全面的に作り直し実施してきた経緯があります。
今年はその2年目研修を経験した世代がキャリアを積んで5年目社員になって研修に参加してきた初めてのケースです。

企業における人材開発で良く語られる事として、
「自分のキャリアをきちんと考えて仕事をしていくことが重要なのはわかるが、それを企業が費用を出して(研修として)支援する意味ってあるのかな?それは個人的に努力すべきテーマなんじゃない?」
ということがあります。
(このテーマについて個人的には企業が支援する意味はあるという強い自負があるのですが、客観的なエビデンスを持って論証できるわけではないのでひとまずここでは置いておきます)

こういった背景もあり、企業での社員向けキャリアサポートは立場の微妙な存在で、
景気が上がって人材難になると手厚くなったり、逆に景気が悪くなって人材流出が少なくなると見向きもされなくなって取りやめになったりを繰り返すことがよく行われています。
要するに「社員に対する会社のご機嫌取りの道具」としてしか会社側に認知されていないところがあります。

でもそもそも、会社の人材開発の取り組みは(特に、俗に言うヒューマンスキル系は)、施策として意味があったかないかを測るにはある程度の経過観察が必要なので、持続的な取組みとその効果検証が必要なのにも関わらず上記の様な感じですから、より社員へのキャリアサポートの効果性はみえなくなってしまったりしています。

小難しいことをぐだぐだ書いてしまいましたが、要するに今回のケースはレアなんです。それも一期一会な研修講師が、自分の研修を経験した人物と年月を経て再び会えるというレアレアなケースです。
ここから何か重要な学びを得ずして何時得るんだ?って感じでしょうか?

その研修もまだ1回目ですから結論に至れませんが(検証チャンスはあと2回)、
一回目で感じた点は以下の通りです。

■結果を受けてテンション下げたところ

・研修の内容をあまり覚えていないといった社員が大勢を占めていた(自分のクラス出身もいたので言い訳の言いようなし。。がんばったのに。。グスン)

・2年目時と比較してコミュニケーションレベルが下がっていた(ダイアログの重要性をしっかり味わってもらってたはずなのに。。グスン)⇒でも日を経るに従って活発になってきた。

■結果を受けてテンションが上がったところ

5年目でキャリアデザインのきちんとした考え方に初めて触れる社員と比較すると、2年目にしっかりとこの考え方に触れてきた社員とでは、

・(前の研修内容忘れたと言うものの)キャリアデザインに関して、知識ではなくスキルのレベルで差異を感じた。(的を得た自己分析や相互アドバイスをしていた。今後の計画だてについても僅かながら精度が高かった)

・職業的自己概念(キャリアアイデンティティ)が成熟していると感じた。別の言い方をすると、プロ(正確にはプロの卵)意識がやや高い

総括すると職業人としての大人度が高かった気がしました。他のクラスの講師の方々も同様な見解を示していました。テキストの内容は忘れてしまっていても、教わったエッセンスは(多かれ少なかれ)日々の自分の思考や行動に落とされているのではという期待ができます。
でもまぁまだ一回だけなのでたまたまそういう人物が今クールに来ていただけかもしれません。

さて次の回ではどうだろう。ちょっと楽しみだな。

ちなみに上記はあくまで主観的なもので数値化したデータに基づく判断ではありません。
当然ですが念のため。

(学者系の方であれば食いつきたくなるところでしょう。でも私はプラクティショナー(実践者)なので実験的統計的立証は私のミッションではないからいいですよね)

合宿の成果②

この間、沖縄に一人合宿にいった話は何度もしていますが、不思議な効果?が持続していたり浮上してきたりしています。


●腹が据わった感覚


帰ってから
「なんか迫力がちょっとました」「すごく冷静に見える」
「エッケイさんがビジネスマンに見える(そもそもビジネスマンだって)」

といったフィードバックを知り合いからもらいました。
(なんかケモノ憑きを除霊された人みたいで気持ち悪いですね(笑))


自分としては状況に常に冷静でいられる感じは確かにあります。余計な迷いは浮かんできません。

でも一見相反しますが

コーチング等でクライアントに発するメッセージは熱さが増している気もします。
(それがいいかは効果的かはわかりませんよ。単に暑苦しいだけかも(笑))


●仕事が楽しくなってきた


理由はわかりません。でも楽な気持ちで接せれて集中できやすいです。


なぜ、この様な効果が生まれているのかはうまく説明できません。


やったことは、自分のキャリア人生を振り返って整理したこと、気持ちよく頭をフルに動かしたこと、内省強化系とエネルギーチャージ系のNLPワークを何度もしたこと位です。


でも決してこれからの自分の新たに進む道が明確になったわけでもなく、具体的なアクションプランが固まったわけではないんです。せいぜい、そこにたどり着くかもしれないキーワードがわかった位なんですが。。不思議なこともあるもんです。


最近の不活性は単に頭の中に不純物が溜まってにごっていただけなのかな。。
(この理のない表現。ちょっと自分らしくないかも。。)



ちなみに上記とは反対に東京に帰ってきてから少し体調が落ちた感覚があります(健康は健康なんですが)。やはり、空気や水、食べ物とかが微妙に影響を与えているのでしょうかね。。。

他の人で同じ効果を上げることができるならキャリアデザインワークショップin沖縄でもやろうかな。

2009年6月6日土曜日

心に残る仕事を重ねる

最近、後輩が転職した。

かなり紆余曲折をして今のところに落ち着いた(まだ落ち着いたかはわからんが)。
一時は今までの積みあげたモノが全部無くなって、
ゼロベースからのスタートに近くなったりもしたのですごく心配した。
(彼のキャリアの相談を受けていたので僕も他人事では無かった)

今、僕が願っているのは、今回の転職が最終ゴールで無くてもいいから、
とにかく今の仕事で「心に残る仕事」をたくさんしていって欲しいと思う。

「心に残る仕事」って定義は難しいので今は整理したきれいな言葉で語れないのだが、結果が出なくても自慢できなくても、他人の評価が良くない仕事でもいい、ただ、
「気を抜かない」「考えつくす」「こだわる」「人とあたる(良いケースでも悪いケースでもどちらでもいい)」「決着まで当事者としている」
これらの要素はあった方がいいと思う。ちなみに量の問題ではない。質の問題だ。

彼に限らず色々な(働いている)人のキャリアの相談にのってるが、
その人の良いキャリアを考える際に大きなヒントや助け(リソース)になるのが過去にやった「心に残る仕事」だ。これが多く、多様なほどキャリアの戦略オプションがいいものになる。

反対にこれが少ない人は、なかなか有望な案(今後どうしたらよいか)が出てこない。
結論として、「先ずは少し時間を費やして(好きだろうが嫌いだろうが関係なく)いい仕事を重ねる」ということになるケースも少なくない。
(若者の相談はこの結論に落ち着くことが多い。キャリアを考えるヒントが少なすぎて進みたい方向性が全く浮かんでこないことが多い。ヘタをすると就活面談で語るような内容しか出てこない)

偉そうなことを言っているが、自分が後者のケースで苦労した人間なので、その反省からの弁でもある。好きだろうが嫌いだろうが仕事から逃げると結果的に好きな仕事に着く道も遠ざかる。ちょっとしたパラドックスだからはまる人が多いだろう。

だから、後輩には着いた仕事がイメージと外れていようがなかろうが、「心に残る仕事」を出来るだけ重ねて欲しい。対外的、成果的に派手でなくてもいい。それさえあれば絶対なんとかなる。
(反対に色んなエクスキューズをしてひいた仕事をしてしまったら何も残らない)

仕事で経験を蓄積していくプロセスは、他人が関与できない、その人自身が研鑽しなければならない領域だから周りは見守るしかできない。

がんばってもらいたいなぁ。